Was There Then vol.2: エレファントカシマシ / ココロに花を ・ 明日に向かって走れ ‐月夜の歌‐
- アーティスト: エレファントカシマシ,宮本浩次,ガンダーラコンビネーション,佐久間正英,土方隆行
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1996/08/21
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
- アーティスト: エレファントカシマシ,宮本浩次,ダンディーブラザーズ,ガンダーラコンビネーション,佐久間正英,斎藤ネコ
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1997/09/10
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
「一生感動、一生青春」って言葉、相田みつをの言葉だと知る前に、中2の時の大好きな担任の大好きな言葉として僕の中にインプットされてしまったので、相田みつをは好きになれなかった僕も、この言葉は嫌いになれなかった。
「一生感動、一生青春」って言葉、嫌いになれないながらも「さすがにそんなことはねえよ」とは思ってた気がしてたんだけど、32歳になっても中2の頃と同じように、もしかしたらその頃以上に感動してるし、32歳になっても中2の頃と同じように、もしかしたらその頃以上に悩んでる。
エレファントカシマシの2枚のアルバムに出会ったのは高2の頃。ブラウン管越しに聴こえてきたCMソング「悲しみの果て」、ドラマ主題歌「今宵の月のように」の、ヒットチャートを駆け上がり賑わせるに十分な寂寥と焦燥、そして希望の溢れる2曲で注目していたところに、ロッキング・オン・ジャパン誌の「明日に向かって走れ」アルバムレビュー欄に於ける、神谷弘一さんの精根出し尽くした魂の檄文。音楽にまつわる文章で泣いた、初めての体験だった。
現時点で僕のPCのiTunesには800枚強のアルバムがインポートされていて、学生時代から金欠になるとCDを売りに出して当座の生計を立ててしまうような人間なので、これまでの音楽体験で聴いてきたアルバムは、多分4桁を少し超えるくらいかな。その中でもこれは一生聴き続けていくだろうと迷いなく断言できるアルバムとなれば限られてきて、最初にそう思った1枚は、もう何度言えば気が済むだろうか「(What's The Story) Morning Glory?」で、直近でそう思ったのはソカバンの新譜。
はて。この2枚、いつからそこに居たんだろう。
音楽番組が1番面白かった90年代後半に音楽番組のヒットチャートを駆け上がり賑わすに相応しい、と同時に従来のファンからも変わらない絶賛で迎えられた、寂寥と焦燥、そして希望の溢れる曲で満載だったこの2枚、もちろん当時も愛聴に愛聴を重ねたし、もちろんその後のエレカシのことも追いながらも、大学時代に友人と「エレカシはやっぱこの2枚だよなあ」と意気投合して聴きながら飲んだのも、1晩2晩のことじゃない。だけど、当時愛聴に愛聴を重ねたアルバムはそりゃもう沢山あるし、飲みの肴になったアルバムだって10枚20枚じゃ足りない。
当時のジャパン誌で何度も出てきたエピソード。デビュー時から才能は認められていながらセールスにはまったく恵まれていなかったエレカシは、「ココロに花を」の前作「東京の空」で、そちらに対しても一定の結果を残せるクオリティの作品を作り上げたという一定の自負を抱くも、結果はまたも振るわず、ついにデビューから長年所属していたレコード会社から契約打ち切りを宣告されたこと。その後、レコード会社の移籍を経て作り上げた「ココロに花を」のマスター音源をウォークマンで聴いていた宮本浩次が、今までとは一変したメジャー感の漂う仕上がりのその音に突然激昂して、ウォークマンを叩き割ったこと。音楽番組が1番面白かった90年代後半に、音楽番組のヒットチャートを駆け上がり賑わすに相応しい、と同時に従来のファンからも変わらない絶賛で迎えられた、寂寥と焦燥、そして希望の溢れる曲で満載の作品のマスター音源を、叩き割ったこと。
高2の僕は、そのどれだけを理解していただろう。自分が受け入れられないという悲しみの、自分が迎合しているんじゃないかという苛立ちの、高2の僕は、そのどれだけを理解していただろう。2枚に溢れる寂寥と焦燥、そして希望の、そのどれだけを理解していただろう。
大学を出て初めて就職した会社は、直属の上司との折り合いが拗れ切ったのが結局1番の理由になって、辞めた。上司のそのまた上司も含めて引き留めてくれる人も沢山いたし、折れればそれで収まったのかも知れない。収まらなかったのかも知れない。それはもうわからないけれど、ただ、折れることができなかった。
エレカシを聴いていた。朝起きて「ココロに花を」を聴いていた。「何かが変わりそうな気がする」と、そう思いながら出勤して、結局何も変えられずに帰宅して、「明日に向かって走れ」を聴いていた。「いつまでも続くのか」と思いながら、「いつの日か輝くだろう」という思いも捨てられずに、聴いていた。
今の会社に入って、今年で7年目。直属の上司との折り合いが拗れ切って、入社直後から目をかけてくれていた上司が早期退職を決断してしまうほどの泥沼の人間関係の中に気付けば足を踏み入れてしまっていて、認めたくはないけれど、干されている。折れれば収まるのかも知れない。収まらないのかも知れない。それはわからないけれど、やっぱり、折れることができない。
エレカシを聴いている。朝起きて「ココロに花を」を聴いている。「何かが変わりそうな気がする」と、そう思いながら出勤して、結局何も変えられずに帰宅して、「明日に向かって走れ」を聴いている。「いつまでも続くのか」と思いながら、「いつの日か輝くだろう」という思いも捨てられずに、聴いている。
少なくとも高2の頃よりは理解できる。自分が受け入れられないという悲しみを、自分が迎合しているんじゃないかという苛立ちを、少なくとも高2の頃よりは理解できる。2枚に溢れている寂寥と焦燥、そして希望を、少なくとも高2の頃よりは理解できる。
32歳になっても中2の頃と同じように、もしかしたらその頃以上に感動してるなんて、中2の僕にそう伝えたら、信じるのかな。32歳になっても中2の頃と同じように、もしかしたらその頃以上に悩みで一杯だなんて、中2の僕にそう伝えたら、嗤われるんじゃないかな。
信じられなくても良いし、嗤われても良い。ただもし伝えられるのなら伝えよう。中2の僕に伝えよう。これからもずっとずっと感動し続けていくし、これからもずっとずっと悩み続けていくよ。高2の僕に伝えよう。その2枚、これからずっとずっと大切になっていくよ。今よりずっとずっと大切になっていくよ。
中2の僕に伝えよう。一生離れられない言葉に出会ったんだよ。
高2の僕に伝えよう。一生聴き続けていく2枚に出会ったんだよ。