book of the year : 2010

No.1

ひそやかな花園

ひそやかな花園

以前にレビューした通りです。僕が2010年の1冊を選ぶという時に、これ以外の選択肢は結局最初から無かった気がします。
詳細レビューはこちら


No.2

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

こんなにも物語の強さを感じさせてくれる作品には、久しく出会っていませんでした。著者最高傑作。言い切ります。


No.3

俺俺

俺俺

文学界のトレンドにそぐいながらも、それをこんな手法で表現する作品があったとは。正に「唯一無二」の作品です。


No.4

クォンタム・ファミリーズ

クォンタム・ファミリーズ

2010年の読書生活を本作で始められたのは、僕にとって大きな喜びでした。再読時も衝撃衰えず。


No.5

リア家の人々

リア家の人々

映像化は容易でしょう。そして映像化しても、本作の魅力は何も伝わらないでしょう。「語り」の天才、橋本治の真骨頂。
詳細レビューはこちら


No.6

勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ

こちらも天才の、見事な復活作。中盤までの興奮度では2010年で断トツでした。
詳細レビューはこちら


No.7

「悪」と戦う

「悪」と戦う

これは「小説」なのか? 他の「小説」と並べて良い作品なのか? 今もまだ、必死で解釈している最中です。


No.8

ナニカアル

ナニカアル

主体も客体もない「憑依」。物語の鬼神キリノは、本作でもやはり鬼神でした。混乱の極みの中、必死に読んでいました。


No.9

どつぼ超然

どつぼ超然

「言文一致体」を背負い続ける町田康。その技巧、もはや超絶の極み。それを凡人は「超然」と言うのでしょうか。


No.10

ピストルズ

ピストルズ

神町サーガ、新章。「偽史の捏造」、もしかしたらそれだけが文学に残された可能性なのかも知れません。


次点:角田光代「ツリーハウス」
次点:島田雅彦「悪貨」 詳細レビューはこちら
次点:白石一文「砂の上のあなた」


【総括ってほどでもない一言】

てなわけで、こんな感じの2010年の読書でした。生活者としての視点しか持ちえないし、それ以外の視点など持ちたいとも思わない、そんな30歳会社員男性の選ぶ10冊+αです。

文学部を卒業して8年が過ぎました。8年前だったら間違いなく選外、どころか読みもしなかったであろう作品が、この中には数多くあります。文学評論家気取りでその実何も持たなかった若者が、8年後、生活者として何とか大人になっている過程の途中、そう捉えれば、今日も僕は僕を好きでいられます。

読書は、僕の生活の大切な一部です。今年もそんなスタンスで読書を楽しもうと思います。